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めいご

姪子

伊藤 左千夫

「アララギ」1909(明治42)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,570 字 · 12 页

青空文庫

「馴れないからよく刈れましね、荒場のおじいさんもたいそうお早くどこへいきますかい」

そう云って莞爾笑うのさ、器量がえいというではないけど、色が白くて顔がふっくりしてるのが朝明りにほんのりしてると、ほんとに可愛い娘であった。

お前とこのとッつぁんも、何か少し加減が悪いような話だがもうえいのかいて、聞くと、おやじが永らくぶらぶらしてますから困っていますと云う、それだからこうして朝草も刈るのかと思ったら、おれは可哀そうでならなかった、それでおれは今鎌を買いに松尾へ往くのだが、日中は熱いからと思ってこんなに早く出掛けてきたのさ、それではお前の分にも一丁買ってきてやるから、折角丹誠してくれやて、云ったら何んでも眼をうるましたようだった、其時のあの女の顔をおれは未だに覚えてる、其の後、家のおやじに話して小作米の残り三俵をまけてやった、心懸けがよかったからあの女も今はあんなに仕合せをしてる。

これでは話が横道へ這入った、それからおれが松尾へ往きついてもまだ日が出なかった、松尾は県道筋について町めいてる処へ樹木に富んだ岡を背負ってるから、屋敷構から人の気心も純粋の百姓村とは少し違ってる、涼しそうな背戸山では頻りに蜩が鳴いてる、おれは又あの蜩の鳴く