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めいご

姪子

伊藤 左千夫

「アララギ」1909(明治42)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,570 字 · 12 页

青空文庫

せいと腕自慢の話だ、そんな風だからおれは元から兼公が好きで、何でも農具はみんな兼公に頼むことにしていた。

其朝なんか、よっぽど可笑しかった、兼公おれの顔を見て何と思ったか、喫驚した眼をきょろきょろさせ物も云わないで軒口ヘ飛んで出た、おれが兼さんお早ようと詞を掛ける、それと同んなじ位に、

「旦那何んです」

とあの青白い尖口の其のたまげた顔をおれの鼻っさきへ持ってきていうのさ、兼さん何でもないよ鎌を買いに来たんだよ、日中は熱いから朝っぱらにやって来たのさ、こういうと、

「そらアよかった、まア旦那お早ようございます」と直ぐにけろりとした風で二つ三つ腰をまげた、ハハハアと笑ったかと思うと直ぐ跡から、旦那鎌なら豪せいなのが出来てます、いう内に女房が出て来て上がり鼻へ花蓙を敷いた、兼公はおれに許り其蓙へ腰をかけさせ、自分は一段低い縁に腰をかけた、兼公は職人だけれど感心に人に無作法なことはしなかった。

「旦那聞いてください、わし忌ま忌ましくなんねいことがあっですよ、あの八田の吉兵エですがね、先月中あなた、山刈と草刈と三丁宛、吟味して打ってくれちもんですから、こっちゃあなた充分に骨を折って仕上げた