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むすめ
娘
岡本 かの子
「婦人公論」1939(昭和14)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,846 字 · 16 页
心臓は破れそうだ。泣いて取縋って哀訴したい気持ちが一ぱいだ。だが、青年の艇は大ような微笑そのものの静けさで、ぴたりぴたりついて来て離れない。
せめて吾妻橋まで――今くず折れるのはまだ恥かしく、口惜しい――だが室子はその時すでに気を失いつつあった。
姉ちゃん、姉ちゃんと蓑吉の呼ぶ声がしたかと思った。室子が気がついてみると、蓑吉はいなくて、自分を抱き起しているのは後の艇にいた青年であった。