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むすめとおおきなかね
娘と大きな鐘
小川 未明
「赤い鳥」1924(大正13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,769 字 · 8 页
」と、みんなはいって帰りました。
そばで、この有り様を見ている娘は、どうしたらいいかと思いました。病気の父親が、気の毒でならなかったのです。もし、自分に、もっと力がありさえすればいいものをと、うらめしく思いました。また、自分たちが、この寺を出されたら、二人は、どこへいったらいいものかと気をもんだのであります。娘は、お坊さまのところへやってまいりました。
「どうか、おしょうさま、私のお父さんを置いてください。たとえ、明日、みんながやってきましても、ほかの人を寺男にしないようにお願いします。」と、たのみました。多少耳の遠くなったお坊さまは、耳を娘の方へやるようにして、聞いていましたが、うんといわずに、頭を振りながら、
「このお寺は、私のものじゃない。みんな村の人たちのものじゃ。村の人のいけないということは、私にどうすることもできない。」と、答えたのです。
娘は、お坊さまだけは、助けてくださると思ったのを思いがけない返事をきいて、まったく力を落としてしまいました。そして、泣きながら、
「どうしたら、私のお父さんの病気が、よくなりましょうか。」と、訴えるように、申しました。