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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

かえしているのである。

尾崎紅葉が法律学生であったことが伝記にかかれている。法律学校に学んだ青年を政治に幻滅させて、文化・文学の面に活動させるようになった明治の半封建の藩閥官僚主義への反撥や、猟官流行への軽蔑の風潮も、「藪の鶯」の中に響いている。作中の或る人物について、若い作者はなかなか辛辣で「ゴマカシウム百分の七十にオベッカリウム百分の三十という人物」と云っている。官吏よりも技術家を尊重する気風が女生徒の口をかりて語られているのも、いかにも近代社会として急速に成長しなければならなかった当時の日本の後進資本主義国としての必要が、女子教育にも娘の子の婿さがしの気分にも影響していたことがわかって面白い。

明治二十一年というときの日本は、二十ばかりの若い女の書いた小説でも、それが上梓され、世間が注目するだけには開化していた。一般がそこまで来るには、明治初年からたゆまず続けられた福沢諭吉の啓蒙もキリスト教教育で婦人の文化的水準を高めた新島襄の存在もその重大な先駆をなしたのであるし、中島、福田女史たちの動きも、ことごとくその土壤となっているのである。「藪の鶯」