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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

『青鞜』の日、若いこの婦人評論家は、その旧家の保守の伝統と重さに反抗して上京もし、生活の幾波瀾をも重ねて来たのであったのに。

岡本かの子が、多摩の旧家の※(「草かんむり/(月+曷)」、第3水準1-91-26)たきめの童としての自身を描きはじめたのが、この時代からであることも意味ふかい。

「不安の文学」が、不安にも徹しないで、やがて文学のうちそとでは、能動精神ということが云われはじめた。当時の日本の治安維持法という野蛮な暴圧のある社会。そのために文学における社会性階級性の問題も一九三三年以来はまともにとり扱われることのなくなった当時の日本の文学に流れ入っては、全く独特な変調をとげた。不安の文学という声が響いて以来、すべての中間的なインテリゲンツィアの心理に瀰漫した思惟と行動との不統一、分裂は遂にその低迷と無気力とで人々を飽きさせて来た。その沈滞を破ろうとする、「行動主義の文学」が求められ、能動精神が唱えられて来た。しかし、フランスを中心としておこったファシズムから文化を守ろうとし、人間性を守ろうとした人民戦線運動が、小松清その他によって日本に紹介された当時から、反ファシズムという、きわめて重大な民主的政治的文化活動の基本になる政治性つまり階級性というものを、日本での提唱者は極力抹殺した。