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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
自分が生きているその社会の歴史の本質と、自己との関係を具体的に発展の方向で把握しきっていない。その結果、文学についての理解にも、当然であるべき社会性が鈍くて、社会的人間としての各個人を把握する能力に乏しい。そのために、文学に実感を求めるときには、狭い主観的な経験にだけとじこもり、その経験を世代のうちにつきはなして評価する力量にかけている。人間の生存が社会と歴史との関係で正当に理解される時が来る迄、様々の形で岡本かの子の悲劇はくりかえされてゆく危険がある。
十、嵐の前
一九三七―一九四〇(昭和十二年以降)
この一二年間、婦人作家の活動が目立った。真杉静枝は短篇集『小魚の心』『ひなどり』などをもって、大谷藤子は『須崎屋』をもって、窪川稲子『素足の娘』、矢田津世子『神楽坂』、美川きよ『恐ろしき幸福』『女流作家』、円地文子『風の如き言葉』『女の冬』、森三千代『小紳士』、大田洋子『海女』『流離の岸』、中里恒子『乗合馬車』、壺井栄『暦』など、出版された作品集の数も近年になくどっさりあった。そして、もし次のことがそれぞれの婦人作家の永い文学の途上で何かを意味することであるならば、中里恒子は芥川賞をうけ、大田洋子は朝日の長篇小説の懸賞に当選した。