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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

という気持をもっている。このひとたちは、今はこうやって、無識無学の女一人の自分に議論の仲裁などをもさせ、将来どんな境遇になっても友情に変りはないと云っているけれども「親密々々こはこれ何のことの葉ぞや」「偽のなき世也せばいか斗この人々の言の葉うれしからん」という感情も一葉にあった。そして「かりそめの友といふ名に遊ぶ身なり。このかるやかなる誓さへ末全からんや」と人のつき合いのはかなさを歎いている。一葉は大音寺前をひき上げて来るとき一つの心の飛躍をしていて、その飛躍の性質はやがて彼女に「うら紫」のお律の人生態度を描かせたものと通じている。「花ごもり」のお近が一葉の処世の全部の気持であり得なかったと同時に、純真な青年たちの感激の言葉に対しても同じ年ごろの女性らしい全心の傾倒は示さないで、偽のない世ならこういう言葉もどんなにうれしく聞けるだろうという不信を抱かせている。

人生や友情に対するそういう実際的な不信頼懐疑をも、一葉はむき出しな人生論として皆とは話さず、その時代らしく仏教的に行方定めぬ人の姿として自分の感情の中にもっていただろうし、その期待するところのすくないような一葉の友情の態度は、『文学界』