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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

三十年という年には、新しく子規の『ホトトギス』が創刊され、三十一年には社が東京にうつって、俳句の新運動と写生文が益々活溌な影響を与えはじめた。時代の空気は文学界の同人たちから「洋装の元禄文学」という批判をうけて来た紅葉にも「金色夜叉」をかかせるようになった。蘆花の「不如帰」の出たのは三十二年である。

与謝野鉄幹を中心とする新詩社から『明星』が発刊されたのが三十三年であって、『明星』のぐるりに今日洋画壇の元老たち、藤島武二、結城素明、石井柏亭、児島喜久雄、黒田清輝、岡田三郎助、青木繁、満谷国四郎その他の人々があつまったことも、明治二十九年の日本で初めての光彩ある前期印象派の団体白馬会の生れたことと照しあわせて興味ふかい。

この『明星』は、『文学界』の最終号で、藤村が「あはれなるロマンティシズムの花の種のそこここにちりこぼれたる」と云った、その一つの花の種であることは明かであったが、日清戦争の前と後とでは、ロマンティシズムの種も変化を蒙って、鉄幹の新詩社は、文学界の芸術至上に立つロマンティシズムを気弱だと評した。そして鉄幹は、三十年に発表した詩集『天地玄黄』