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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
ものは、見出されないままに止まったのである。
晶子は、いつか自分のこのような深刻な分裂に心づいた時があっただろうか。或は、ずっと気づかぬままに、年が閲されたのではなかろうか。あれだけ多量に影響のつよい作歌活動を行ったにもかかわらず、晶子は、自身として創作についての理論をもっていなかったことは『みだれ髪』以後、折々の芸術談にうかがわれる。『女学世界』の記者が、女流詩人の選手として晶子に作歌上の心がけを訊ねたとき、立派な歌を学ぶことと並べて、自分は自然にひとりでに歌をつくっているという一点を強調している。与謝野寛が丁度大阪に行っているときかで、そういうむずかしいことは主人にきいて下さい、お前がまた妙なことを云ったと叱られますから、という意味の言葉で笑い消している。
婦人の文学上の活動の歴史にとって、何と忘れ難い晶子の答えかたであるだろう。「やは肌の」は感性に溢れる自然発生の積極さはあっても、女の芸術上の自覚としての芸術理論はつかもうとされていない事実は、決して晶子の場合だけではない。そこに、明日の婦人作家への課題も蔵されている。一葉も、芸術に対する気構えはつよくもっていて、その芸術至上の気魄は評伝家たちに高く評価されている。