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ふじんのどくしょ

婦人の読書

宮本 百合子

「知性」1940(昭和15)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,784 字 · 8 页

青空文庫

読書にたいする日本の婦人の生育の過程はいまその一般の数の増大の第二の時期をへつつあるとも見られる。この土台の上に、婦人としての読書の質が高められなければならない。

アメリカなどでは、がいして女の人の方がよけい本を読むということが周知の事実となっている。男は忙しく働き金をもうけている。女は時間と金とがあって、男より読書している。そのために、婦人が社会に働きかけてゆく力は非常に根づよい。そういわれている。けれども、こまかく考えてみれば、時間と金とが男よりも多いといわれているアメリカの読書する婦人たちのうちのはたして何割が、社会人として自力でそれらの本を買い、本をよむことでその自主的な生活力を鍛錬し慰安を見出しつつ生きているのだろうか。アメリカのような国で、勤労して生活している若い娘たちがどのように読書しているか興味がある。ドライサアの「アメリカの悲劇」の中には、読書することで生活になにかがおこったというような男も女も一人も描れていないことが思い出される。

チェホフにしろ、ストリンドベリーにしろ、女の読者というものにたいしてそれぞれ独特な表現で興味ふかく疳癖を示しているが、このことにこれらの作家たちの芸術魂の清潔さが示されているとばかり云えば、それはいささか単純であろう。