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ふじんさっか

婦人作家

宮本 百合子

「婦人と文学」附録、筑摩書房、1951(昭和26)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,898 字 · 58 页

青空文庫

的な小市民道徳に抗議する男自身、女に対してもっている封建性への抗議をとびこさなかったのは一必然であった。

一九一〇年八月におこった幸徳秋水たちのいわゆる「大逆事件」が、高まる労働運動を封殺して絶対主義権力を守るために利用された大仕掛な捏造事件であったことは、今日すべての人の前に明らかである。

しかしこの事件の真相をつきとめることさえも許されなかった当時の情勢の中で、「大逆事件」は、片山潜、堺利彦、西川光二郎、山口孤剣によって大衆化した社会主義運動を地下に追いやったばかりでなく、フランスから帰って間もなかった永井荷風の作家的生涯を戯作者の低さに追放し、『白樺』を中心として起った日本の人道主義文学運動を、社会的推進力にかけた超階級的な世界天才主義に枠づける動因となった。そして一方では、自然主義文学運動の日本的な変種としての「私小説」が志賀直哉によって現代文学の主流とされるまでに完成されてゆくことにもなった。

平塚らいてう、尾竹紅吉などによっておこされた青鞜社の運動がその本質はブルジョア婦人解放に限界されていたにもかかわらず、当時の進歩的な評論家生田長江、馬場孤蝶、阿部次郎、高村光太郎、中沢臨川、内田魯庵などによって支持され、社会的に大きい波紋を描いたのも、政治・労働運動に民衆の発展する意志を表現することを得