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ふじんさっか

婦人作家

宮本 百合子

「婦人と文学」附録、筑摩書房、1951(昭和26)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,898 字 · 58 页

青空文庫

然し、その常識的善良さは、更に鋭く客観的な観察に発展させられる必要がある。

ヒロシマで原爆の被害を蒙った大田洋子の「屍の街」は戦争の残酷さを刻印するルポルタージュである。芝木好子、大原富枝そのほか幾人かのひとがそれぞれ婦人作家としての短くない経験にたって、明日に伸びようとしているのであるが、婦人の生活と文学の道とは、今日も決して踏みやすくはされていない。女が小説をかくというそのことに対する非難の目は和らげられたにしても、既成の多くの婦人作家が属している中間的な社会層の経済的変動と、それにともなう社会意識の変化は、著しい。それらがまだ日常の雰囲気的なものであるにせよ、彼女たちには過去の文学の観念と創作の方法が、そのままで現在を再現し、明日のいのちにつながるにしては、何かの力を欠いて来ていることが自覚されてもいるだろう。

このことは、「白き煖炉の前」にて中里恒子に著しい。中里恒子は、彼女の特殊な生活環境によって、日本の上流家庭の妻となり、母となっている外国婦人の生活をしばしば題材として来ている。戦争中これらの外国婦人たちが日本で経験したことは、彼女たちの多くを日本人嫌悪におとし入れた。