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ふじんさっか

婦人作家

宮本 百合子

「婦人と文学」附録、筑摩書房、1951(昭和26)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,898 字 · 58 页

青空文庫

由起しげ子のヒューマニズムは、自分で自分のヒューマニティーを劬りつづけて来た生活習慣から、早く強壮に巣立つ必要にせまられている。彼女の、「良識」と評せられる感受性は、現実の中でよごれずにはすまないこと、しかしそれはけがれではないということを会得することが待たれる。関村つる子の真率さは、どのようにそのまゆをくいやぶるだろうか。きょうの文学史が二重うつしとなっていて、われわれの成長も二重の可能に立たされているわけがここにある。

由起しげ子、関村つる子、そのほか多くの婦人の作品のモティーヴは、ヨーロッパ文学の中では、ジョルジュ・サンドが婦人の人間性について訴えはじめてこのかた、第一次大戦までの資本主義社会の自由のなかで、婦人の文学によってかき出されて来たものであるともいえよう。けれども、われわれのところでは、一九五〇年のきょう、やっとこの人々の人間の声がきかれるようになった。モティーヴは、いくら世界史のうしろの頁からはじめられていても、それを展開してゆく生活と文学の可能は、前進している。はっきり民主的な立場に身をおいて書き出している婦人作家たちはもとより、由起しげ子の作品にしても、一九三九年代に女らしさのよそおいに自分たちの文学を装った日本の婦人作家の悲しい身ぶりからは解放されている。