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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页
と更めて、両手を支いて、息を切って、
「申訳がございません。とんだ連累でお在んなさいます。どうぞ、姉さんには、そんな事をおっしゃいません様に、私を御存分になさいまして。」
「存分にすれば蹴殺すばかりよ。」
と吐出すように云って、はじめて、豊かに煙を吸った。
「じゃ恐入ったんだな。
内に蔦吉が居るんだな。
もう陳じないな。」
「心得違いをいたしまして……何とも申しようがございません。」
と吻と息を吐いたと思うと、声が霑む。
最早罪に伏したので、今までは執成すことも出来なかった小芳が、ここぞ、と見計って、初心にも、袂の先を爪さぐりながら、
「大目に見てお上なすって下さいまし。蔦吉さんも仇な気じゃありません。決して早瀬さんのお世帯の不為になるような事はしませんですよ。一生懸命だったんですから。あんな派手な妓が落籍祝どころじゃありません、貴郎、着換も無くしてまで、借金の方をつけて、夜遁げをするようにして落籍たんですもの。
堅気に世帯が持てさえすれば、その内には、世間でも、商売したのは忘れましょうから、早瀬さんの御身分に障るようなこともござんすまい。もうこの節じゃ、洗濯ものも出来るし、単衣ぐらい縫えますって、この間も夜晩く私に逢いに来たんですがね。