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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

「不可ません、もう飲んでるんだもの。この上煽らして御覧なさい。また過日のように、ちょいと盤台を預っとくんねえ、か何かで、」

お蔦は半纏の袖を投げて、婀娜に酔ッぱらいを、拳固で見せて、

「それッきり、五日の間行方知れずになっちまう。」

「旦那、こうなると頂きてえね、人間は依怙地なもんだ。」

「可いから、己が承知だから、」

「じゃ、め組に附合って、これから遊びにでも何でもおいでなさい。お腹が空いたって私、知らないから。さあ、そこを退いて頂戴よ、通れやしないわね。」

「ああ、もしもし、」

主税は身を躱して通しながら、

「御立腹の処を重々恐縮でございますが、おついでに、手前にも一杯、同じく冷いのを、」

「知りませんよ。」

とつっと入る。

「旦も、ゆすり方は素人じゃねえ。なかなか馴れてら、」

もう飲みかけたようなもの言いで、腰障子から首を突込み、

「今度八丁堀の私の内へ遊びに来ておくんなせえ。一番私がね、嚊々左衛門に酒を強請る呼吸というのをお目にかけまさ。」

「女房が寄せつけやしまい、第一吃驚するだろう、己なんぞが飛込んじゃ、山の手から猪ぐらいに。所かわれば品かわるだ、なあ、め組。