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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页
がんからん、がんからん、がんからん。
「ひゃあ、」と据眼に呼吸を引いて、たじたじと退ると、駅員は冷々然として衝と去って、入口へ向いて、がらんがらん。
主税も驚いて、
「切符だ、切符だ。」
と思わず口へ出して、慌てて行くのを、
「おっと、おっと、先生、切符なら心得てら。」
「もう買っといたか、それは豪い。」
惣助これには答えないで、
「ええ、驚いたい、串戯じゃねえ、二合半が処フイにした。さあ、まあ、お乗んなせえ。」
荷物を引立てて来て、二人で改札口を出た。その半纏着と、薄色背広の押並んだ対照は妙であったが、乗客はただこの二人の影のちらちらと分れて映るばかり、十四五人には過ぎないのであった。
め組が、中ほどから、急にあたふたと駈出して、二等室を一ツ覗き越しにも一つ出て、ひょいと、飛込むと、早や主税が近寄る時は、荷物を入れて外へ出た。
「ここが可いや、先生。」
「何だ、青切符か。」
「知れた事だね、」
「大束を言うな、駈落の身分じゃないか。幾干だっけ。」
と横へ反身に衣兜を探ると、め組はどんぶりを、ざッくと叩き、
「心得てら。」
「お前に達引かして堪るものか。」
「ううむ、」