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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

艶麗な女俳優が、子役を連れているような。年齢は、されば、その児の母親とすれば、少くとも四五であるが、姉とすれば、九でも二十でも差支えはない。

婦人は、しきりに、その独語に巧妙な同胞の、鼻筋の通った、細表の、色の浅黒い、眉のやや迫った男の、少々しい口許と、心の透通るような眼光を見て、ともすれば我を忘れるばかりになるので、小児は手が空いたが、もう腹は出来たり、退屈らしく皿の中へ、指でくるくると環を描いた。それも、詰らなそうに、円い目で、貴婦人の顔を視めて、同一ようにそなたを向いたが、一向珍らしくない日本の兄より、これは外国の小父さんの方が面白いから、あどけなく見入って傾く。

その、不思議そうに瞳をくるくると遣った様子は、よっぽど可愛くって、隅の窓を三角に取って彳んだボオイさえ、莞爾した程であるから、当の外国人は髯をもじゃもじゃと破顔して、ちょうど食後の林檎を剥きかけていた処、小刀を目八分に取って、皮をひょいと雷干に、菓物を差上げて何か口早に云うと、青年が振返って、身を捻じざまに、直ぐ近かった、小児の乗っかった椅子へ手をかけて、

「坊ちゃん、いらっしゃい。