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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

」

「はあ、伊太利の、商人ですか。」

「いえ、どうも学者のようです。しかしこっちが学者でありませんから、科学上の談話は出来ませんでしたが、様子が、何だか理学者らしゅうございます。」

「理学者、そうでございますか。」

小児の肩に手を懸けて、

「これの父親も、ちとばかりその端くれを、致しますのでございますよ。」

さては理学士か何ぞである。

貴婦人はこう云った時、やや得意気に見えた。

「さぞおもしろい、お話しがございましたでしょうね。」

雪踏をずらす音がして、柔かな肱を、唐草の浮模様ある、卓子の蔽に曲げて、身を入れて聞かれたので、青年はなぜか、困った顔をして、

「どう仕りまして、そうおっしゃられては恐縮しましたな、僕のは、でたらめの理学者ですよ。ええ、」

とちょいと天窓を掻いて、

「林檎を食べた処から、先祖のニュウトン先生を思い出して、そこで理学者と遣ったんです。はは、はは、実際はその何だかちっとも分りません。」

「まあ。お人の悪い。貴郎は、」

と莞爾した流眄の媚かしさ。熟と見られて、青年は目を外らしたが、今は仕切の外に控えた、ボオイと硝子越に顔の合ったのを、手招きして、