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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

厭だわ、聞かさなくっちゃ、と強いられた。

早瀬は悉しく懺悔するがごとく語ったが、都合上、ここでは要を摘んで置く。……

義理から別離話になると、お蔦は、しかし二度芸者をする気は無いから、幸いめ組の惣助の女房は、島田が名人の女髪結。柳橋は廻り場で、自分も結って貰って懇意だし、め組とはまたああいう中で、打明話が出来るから、いっそその弟子になって髪結で身を立てる。商売をひいてからは、いつも独りで束ねるが、銀杏返しなら不自由はなし、雛妓の桃割ぐらいは慰みに結ってやって、お世辞にも誉められた覚えがある。出来ないことはありますまい、親もなし、兄弟もなし、行く処と云えば元の柳橋の主人の内、それよりは肴屋へ内弟子に入って当分梳手を手伝いましょう。……何も心まかせ、とそれに極まった。この事は、酒井先生も御承知で、内証で飯田町の二階で、直々に、お蔦に逢って下すって、その志の殊勝なのに、つくづく頷いて、手ずから、小遣など、いろいろ心着があった、と云う。

それぎり、顔も見ないで、静岡へ引込むつもりだったが、め組の惣助の計らいで、不意に汽車の中で逢って、横浜まで送る、と云うのであった。