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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页
」
小芳が(まあ。)と云う体で呆れると、お蔦は寂しそうな笑を見せて、
「お嬢さん、その貴嬢、面白いことが無いんですもの、」と勢のない呼吸をする。
「主税さんに逢えば可いでしょう。」
「え、」
「貴女、逢いたいでしょう。」
二人が黙って瞻っても、お妙は目まじろぎもしないで、
「私だって逢いたくってよ。静岡へ行ってから、全く一年になるんですもの、随分だと思うわ、手紙も寄越さないんですもの。私は、あんまりだと思ってよ。
絵のお清書をする時、硯を洗ってくれて、そしてその晩別れたのは、ちょうど今月じゃありませんか。その時の杜若なんざ、もう私、嬰児が描いたように思うんですよ。随分しばらくなんですもの、私だって逢いたいわ。」
と見る見る瞳にうるみを持ったが、活々した顔は撓まず、声も凜々と冴えた。
「それですから、貴女も逢いたかろうと思ってねえ。実は私相談に来たの。もっと早くから、来よう、来ようと思ったんだけれど、極が悪いしねえ、それに私見たようなものには逢って下さらないでしょうと思って、学校の帰りに幾度も九段まで来て止したの。
それでも、あの、築地から来るお友達に、この辺の事を聞いて置いて、九段から、電車に乗るのは分ったの。