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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

」

と、手を引入れて引緊めて、わっとばかりに声を立てると、思わず熟と抱き合って、

「あれ、しっかりおし、小芳さん、癪が起ると不可いよ。私たちは何の因果で、」

芸者なんぞになったとて、色も諸分も知抜いた、いずれ名取の婦ども、処女のように泣いたのである。

小待合

二十七

「こうこう、姉え、姉え、目を開いて口を利きねえ。もっとも、かっと開いたところで、富士も筑波も見えるかどうだか、覚束ねえ目だけれどよ。はははは、いくら江戸前の肴屋だって、玄関から怒鳴り込む奴があるかい。お客だぜ。お客様だぜ。おい、お前の方で惣菜は要らなくっても、己が方で座敷が要るんだ。何を! 座敷が無え、古風な事を言うな、芸者の霜枯じゃあるめえし。」

と盤台をどさりと横づけに、澄まして天秤を立てかける。微酔のめ組の惣助。商売の帰途にまたぐれた――これだから女房が、内には鉄瓶さえ置かないのである。

立迎えた小待合の女中は、坐りもやらず中腰でうろうろして、

「全くおあいにくなんですよ。」

と入口を塞いだ前へ、平気で、ずんと腰を下ろして、

「見ねえ、身もんでえをする度に、どんぶりが鳴らあ。