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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页
「一度お話した上は、たとい貴女が御不承知でも、もうこんなものは、」
と※と火を摺ると、ひらひらと燃え上って、蒼くなって消えた。が、靡きかかる煙の中に、夫人の顔がちらちらと動いて、何となく、誘われて膝も揺ら揺ら。
居坐を直して、更まって、
「お連れ下さいまし、どうぞ。」
がらがらと格子の開く音。それ、言わぬことか。早や座に見えた菅子の姿。眩いばかりの装いで、坐りもやらず、
「まあ、姉さん!」
私語
三十五
「もう遅いわ、姉さん、早くいらっしゃらないでは、何をしているの、」
と菅子は立ったままで急込んで云う。戸外の暑さか、駈込んだせいか、赫と逆上せた顔の色。
胸打騒げる姉夫人、道子がかえって物静かに、
「先刻から待っていたんですよ。」
「待っていたって、私は方々に用があるんだもの、さっさと行って下さらないじゃ、」
「何ですねえ、邪険な、和女を待っていたんですよ。来がけに草深へも寄ったのよ。一所に連れて行って欲しいと思って。――さあ、それでは行きましょうね。」
「私は用があるわ。」
「寄道をするんですか。」
「じゃ……ないけども、これから、この早瀬さんと一議論して、何でも慈善会へ引張り出すんですから手間が取れてよ。