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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

「同時に私だって、」

と笑って言う。

その肩を突いて、

「まあ、仕ようの無い我儘だよ。」

三十九

「貴下は始めからそうなんだわ。……

道学者の坂田(アバ大人)さんが、兄さんの媒口を利くのが癪に障るからって、(攫徒の手つだいをして、参謀本部も諭旨免官になりました。攫徒は、その時の事を恩にして、警察では、知らない間に袂へ入れて置いて逆捩を食わしたように云ってくれたけれど、その実は、知っていて攫徒の手から紙入を受取ってやったんだ。それで宜しくばお稽古にお出でなさい、早瀬主税は攫徒の補助をした東京の食詰者です。)とこの塾を開く時、千鳥座かどこかで公衆に演説をする、と云った人だもの――私が留めたから止したけれど……」

早瀬の胸のあたりに、背向きになって、投げ出した褄を、熟と見ながら、

「私、どうしたら、そんな乱暴な人を友だちにしたんだか。」

と自から怪むがごとく独言つと、

「不都合な方と知りながら、貴女と附合ってる私と同一でしょう。」

「だって私は、貴下のために悪いようにとした事は一つも無いのに、貴下の方じゃ、私の身の立たないように、立たないようにと言うじゃありませんか。