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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

どうだろう、君、迷惑をするだろうか。」

と甘えるような身体つき、座蒲団にぐったりして、横合から覗いて云う。

「何が迷惑さ。君の身体で、御自分お出かけなさるに、ちっとも迷惑な事はない。迷惑な事はないが……」

「いや、ところが今夜は、君の内へ来たことを、母様が知ってるからね。今のような話じゃ、また君が引張出したように、母様に思われようかと、心配をするだろうと云うんだ。」

「お疑いなさるは御勝手さ。癪に障ればったって、恐い事、何あるものか、君の母親が何だ?」

と云いかけて、語気をかえ、

「そう云っちまえば、実も蓋もない。痛くない腹を探られるのは、僕だって厭だ。それにしても早瀬へ遊びに行くと云う君に、よく故障を入れなかったね。」

「うむ、そりゃあれです、君に逢わない内は疑っていないでもなかったがね、」

あえて臆面は無い容子で、

「昨日逢ってから、そうした人じゃないようだ、と頷いていた。母様はね、君、目が高いんだ、いわゆる士を知る明ありだよ。」

「じゃ、何か、士を知る明があって、それで、何か、そうした人じゃないようだ、(ようだ。)とまだ疑があるのか。」

「だってただ一面識だものね、三四度交際って見たまえ。