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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

」

主税は黙って、茶を注いだが、強いて落着いた容子に見えた。

「何かね、持参金でも望みなのかね。」

「馬鹿を謂いたまえ。妹たちを縁附けるに、こちらから持参はさせるが、僕が結婚するに、いやしくも河野の世子が持参金などを望むものか。

君、僕の家じゃ、何だ、女の児が一人生れると、七夜から直ぐに積立金をするよ。それ立派に支度が出来るだろう。結婚してからは、その利息が化粧料、小遣となろうというんだ。自然嫁入先でも幅が利きます。もっともその金を、婿の名に書き替るわけじゃないが、河野家においてさ、一人一人の名にして保管してあるんだから、例えば婿が多日月給に離れるような事があっても、たちまち破綻を生ずるごとき不面目は無い。

という円満な家庭になっているんだ。で先方の財産は望じゃないが、余り困っているようだと、親族の関係から、つい迷惑をする事になっちゃ困る。娘の縁で、一時借用なぞというのは有がちだから。」

「酒井先生は江戸児だ!」

と唐突に一喝して、

「神田の祭礼に叩き売っても、娘の縁で借りるもんかい。河野!」

と屹と見た目の鋭さ。眉を昂げて、

「髯があったり、本を読んだり、お互の交際は窮屈だ。