轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

今度来た玄関の書生は馴染が薄いから、巻莨の吸殻沢山な火鉢をしきりに突着けられても、興に乗る話も出ず。しかしこの一両日に、坂田と云う道学者が先生を訪問はしませんか、と尋ねて、来ない、と聞いただけを取柄。土産ものを包んで行った風呂敷を畳みもしないで突込んで、見ッともないほど袂を膨らませて、ぼんやりして帰りがけ、その横町の中程まで来ると、早瀬さん御機嫌宜しゅう、と頓興に馴々しく声を懸けた者がある。

玄関に居た頃から馴染の車屋で、見ると障子を横にして眩い日当りを遮った帳場から、ぬい、と顔を出したのは、酒井へお出入りのその車夫。

おうと立停まって一言二言交すついでに、主税はふと心付いて、もしやこの頃、先生の事だの、お嬢さんの事を聞きに来たものはないか、と聞くと、月はじめにモオニングを着た、痘痕のある立派な旦那が。

来たか! へい、お目出たい話なんだからちっとばかり様子を聞かせな、とおっしゃいましてね。終にゃ、き様、お伴をするだろう、懸りつけの医師はどこだ、とお尋ねなさいましたっけ。

台所から、筒袖を着た女房が、ひょっこり出て来て、おやまあ早瀬さん、と笑いかけて、いいえ、やどでもここが御奉公と存じましてね、もうもう賞めて賞めて賞め抜いてお聞かせ申しましてございますよ。