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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

へい、そして静岡だってね。」

「ああ、」

「と御維新以来、江戸児の親分の、慶喜様が行っていた処だ。第一かく申すめの公も、江戸城を明渡しの、落人を極めた時分、二年越居た事がありますぜ。

馬鹿にしねえ、大親分が居て、それから私が居た土地だ。大概江戸ッ児になってそうなもんだに、またどうして、あんな獣が居るんだろう。

聞きねえ。

過日もね、お前、まったくはお前、一軒かけ離れて、あすこへ行くのは荷なんだけれども、ちとポカと来たし、佳い魚がなくッて困るッて言いなさる、廻ってお上げ、とお前さんが口を利くから、チョッ蔦ちゃんの言うこッた。

脛を達引け、と二三度行ったわ。何じゃねえか、一度お前、おう、先公、居るかいッて、景気に呼んだと思いねえ。」

お蔦は莞爾して、

「せんこうッて誰のこったね。」

「内の、お友達よ。河野さんは、学士だとか、学者だとか、先生だとか言うこッたから、一ツ奉って呼んだのよ。」

と鰭をばっさり。

四

「可いじゃねえか、お前、先公だから先公よ。何も野郎とも兄弟とも言ったわけじゃねえ。」

と庖丁の尖を危く辷らして、鼻の下を引擦って、

「すると何だ。