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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页

青空文庫

「それなら結構でございますけれど」

「断髪だけれど品がある。何うしても教育のある女だよ」

「幾つぐらい?」

「芳子ぐらいだろうね。器量も好いよ」

「それから何うなさいましたの?」

「俺達が見ているとも知らずに、俊一はステッキを振って大騒ぎをする。娘も駈けるようにして橋を渡る。二人が一緒になって話し始めたところへ、俺と三郎が知らん顔をして通りかゝったのさ。何ということだろうと思ったら、俺は情けなくなった」

「お察し申上げますわ」

「しかし三郎への手前があるから、表面は少しも動じない積りだったが、争われないものさ。通り過ぎると間もなく、足がガクッとして、すんでのことに転ぶところだった」

「まあ!」

「これはいけないと思って、池の端の切株に腰を下した。『逃げましたよ』と三郎が言うから、振り向くと、二人は駈けるようにして行く。何という態だろうと思ったよ。二十八まで手塩にかけた息子じゃないか? それが親を見て逃げ出すんだからね」

と山下さんは沁み/″\言った。

「親不孝な子でございますわ」

「三郎が憤慨するのも無理はない」

「あれが何か申しましたの?」

「後をつけましょうかって目の色を変えていた。