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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页

青空文庫

「兄貴何うかしているぞ」

と二郎君は皆を笑わせる積りだった。

「何故? 二郎」

「ハッハヽヽヽ」

「何故よ?」

と時節柄お母さんは益※(二の字点、1-2-22)気になる。

「この前の日曜に僕が後れたら、『何故電話をかけない? 馬鹿な奴だ』って叱ったんですもの」

「然う/\、紳士は時間厳守でなければいけないって」

とその次の雅男君も口を出した。

「兄さんは理論家よ。自分の頭の蝿が追えないわ」

と安子さんが笑った。俊一君、評判が好くない。

「何うしたんでしょうね?」

とお母さんは覚えず柱時計を見上げる。

「もう帰って来るよ」

と山下さんは再び保証した。

食後、お父さんとお母さんはそのまゝ茶の間に残って、専念に俊一君を待ち始めた。

「何うしたんでございましょうね?」

「…………」

「あなた」

「何だい?」

「俊一は今まで几帳面な子でございましたよ。後れる時は屹度電話で言って寄越すのに、少し変じゃありませんの?」

「それは無論変さ。大手を振って帰れない理由がある」

「矢っ張りあなたが連れて来て下されば宜かったわ」

「いや。もう子供じゃない。圧迫を加えると却って結果が悪かろうと思ったのさ」