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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页

青空文庫

「角張りはよして頂戴。私、この間お父さんに叱られたじゃありませんか?」

「僕はあの勿体ぶった態度が気に入りません。何かというと、僕や二郎に訓諭をする積りです」

「それは学校の先生だからつい癖が出るんですわ」

「女房の里を教室と間違えるようじゃ頭の好さも知れています」

「お前よりも年が上だから、親切ずくで世話を焼くんですよ。気にかけることはないわ」

「あれは堅人じゃないです」

「それなら何?」

「変人ですよ」

「可哀そうに」

「洒落も皮肉も分らない。二郎に諢われても知らないでいるんです」

「まあ/\、仲よくして下さいよ。私、その中に春子に言って置きますから」

とお母さんは賺める外なかった。

長船君は決して出しゃばる積りでない。唯天真爛漫に角張っている尾鰭が俊一君の癇癪に障るのである。例えば話の中にモダン・ガールが出る場合、

「モダン・ボーイだのモダン・ガールだのってものは文化の上層に浮ぶ泡糟ですよ。問題にするに足りません」

と三郎君は思うまゝを述べる。

「しかし多少意義のある存在でしょう」

とモダンをもって任じている俊一君は自分が罵られたような気になる。

「それは無論です」