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こどもとうまのはなし

子供と馬の話

小川 未明

「童話」1923(大正12)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,727 字 · 8 页

青空文庫

」と、やさしく声をかけられました。

ゴト、ゴトと重い荷車を馬に引かせてきた男は、手綱をゆるめて立ち止まりました。

「横浜から、今日の昼ごろ出かけてまいりました。これから、もう一里も先へゆかなければなりません。馬もだいぶ疲れています。」と答えました。

「そうとも、ここから横浜までは、十里あまりもありますからね。」

「六郷川の仮橋を渡ってきなすったのですね。」

「ええ、そうです。また、この荷物を下ろして、すぐに、今夜のうちに帰るつもりです。」と、馬を引いてきた男はいいました。

「また、遠い道を帰るのですか。」

「あすの晩方に、あちらへ着きます。そして、あさっては一日馬を休めます。」と、男は、答えました。

夜警の人々は、この話を聞いて、人間も、馬も、どんなに疲れることだろうと思いました。

こんなことは、平常多くあることでありません。汽車が通っていれば、汽車で運搬されるのです。こうした、変事があったときは、みんなが助け合ったり、骨をおらなければならないのであります。

男は、また、手綱を引いて、ゆこうとしました。すると、馬は、もうだいぶ疲れているものとみえて、じっとして、歩こうといたしませんでした。