轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
がくいについて
学位について
寺田 寅彦
「改造 第十六巻第五号」1934(昭和9)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,656 字 · 17 页
屑のような論文が百も出るうちには一つくらいは少しはろくなものも交じる確率があり、万人の研究者の中には半人くらいは世界的の学者を出すプロバビリティーがあるかも知れない。それで、何かしら一つ仕事をすれば学位が必ずとれるとなれば志望者も自ずから増すであろう。あの男が取れるならおれでも取れるという人もあるかもしれない。その結果は研究者の増加を促し翻っては一国の学術研究熱を鼓吹することになるであろう。これに反して、五年も十年も一生懸命骨を折って勉強をした人の、外目にはともかくも相当なコントリビューションにはなるであろうと思われるものが些細な欠点のために落第させられたり、二十年も事務室の金庫に秘蔵されるようでは、先ずよほどの自信家でない限り論文提出について逡巡せざるを得ないであろう。提出を控えるだけならば誠に結構であるが、論文を書くまでに必要な肝心の研究を見合せて転向を想うようになる人の数が幾分でも多くなって来るのであったら、これは少し考えものではないか。
博士がえらいものであったのは何十年前の話である。弊衣破帽の学生さんが、学士の免状を貰った日に馬車が迎えに来た時代の灰色の昔の夢物語に過ぎない。