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がくせいのぎのうときんろうたいしゅう
学生の技能と勤労大衆
戸坂 潤
「関西学院新聞」1936(昭和11)年8月8日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,445 字 · 13 页
だ。真面目に民衆のために教育を考えてなどいない。又仮に教育制度が適当に改革された処で、入学難の根本的解決などは出来るものではない。なぜかと云うに、入学難の背景へは、母親の虚栄心や小学校の校長さんの世渡り術などより遥に重大な動力として、将来の就職という目標が作用しているのだからだ。
◇
そこで就職問題の解決だが、之が抑々今日の社会問題の隨一に困難なものの一つである事は云うまでもない。之は学校の先生達の卒業生売込運動や卒業生の各種のヒロイズムでも解消しないし、「世間雑話」的な世渡り精神でも役に立たぬ。そうした種類の粒々たる心労も、例えば軍需景気の一寸した上下の作用で、声のない虫のように、ひねりつぶされて了う。就職問題など一にかかって、支配者の腹具合にあると云うべきだろう。併しそう云っても銘々は喰わねばならぬ。責任は支配者にはなくて、学生の場合なら、卒業生の銘々やその親や親戚にある。之が所謂「就職」問題なるものの意義だ。
こうして入学試験の問題を就職問題へ解消して考えると、結局学生の最も切実な問題と云ったものは決して学生だけに特有な問題なのではない。