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がくせいじだい

学生時代

幸田 露伴

「中學文藝」1906(明治39)年6月臨時増刊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,596 字 · 5 页

青空文庫

銘々勝手な事を読んで行って勝手な質問をする、それが唯一の勉強法なのでしたが、中には何を読んで好いか分らないという向がある。すると、正直に先生に其の旨をいって御尋ねする、それなら何を読んだら宜敷かろうと、学力相応に書物を指定して下さるといったような事で誰しも勉強したものです。

そういう訳で銘々勝手な本を読みますから、先生は随分うるさいのですが、其の代り銘々が自家でもって十分苦しんで読んで、字が分らなければ字引を引き、意味が取れなければ再思三考するというように勉強した揚句に、いよいよ分らないというところだけを先生の前に持出して聞くのですから、一人が先生の何分間をも費すのでは有りません。よくよく勉強の男でも十分間も先生を煩わすと云うのは無い位でした。それで、「誰某は偉い奴だ、史記の列伝丈を百日間でスッカリ読み明らめた」というような噂が塾の中で立つと、「ナニ乃公なら五十日で隅から隅まで読んで見せる」なんぞという英物が出て来る、「乃公はそんなら本紀列伝を併せて一ト月に研究し尽すぞ」という豪傑が現われる。そんな工合で互に励み合うので、ナマケル奴は勝手にナマケて居るのでいつまでも上達せぬ代り、勉強するものはズンズン上達して、公平に評すれば畸形的に発達すると云っても宜いが、兎に角に発達して行く速度は中々に早いものであっ