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そんごくうのくも

孫悟空の雲

宮本 百合子

『近代文学』十月号平野謙氏の評論について

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,568 字 · 9 页

青空文庫

「ほかならぬ宮本百合子だから、党も一種の例外として黙認しているのではないかと考えられる。」そういう特権の「立場にある宮本さんが」正論を云いきって、「いささかのうしろめたさも覚えぬらしい態度に、実は私はあきたらぬものであります」と云われている。熱田五郎氏の感想がひかれて、若い人たちは、「自己一身のうちに労働者的な集団生活と小市民的な個人生活との二重性をはっきりみとめ」「党生活と私生活との二重性の」「統一を一作家の資格においてなしとげたいと希っている。」その当然の希望は、政治生活を作家生活にきりかえている特権者であるわたしの「きまりきった」「一人の文学者としてではなく、いわば組合の指導者でも云いそうな正論」「軌道的な文学論」に轢殺されていると、平野氏は語っているのである。わたしが党員である作家として例外の特権をたのしんでいて、作品をかくために役員をやめたり会合に出なかったりしてすましていると判断する、どんな実際の根拠を平野氏はもっているのだろうか。

わたしが、去年の暮から外に出られないのは、病気だからにほかならない。太平洋戦争がはじまるとともに検挙されて、翌年の七月末、熱射病で死ぬものとして巣鴨の拘置所から帰された。