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うちゅうのまいご

宇宙の迷子

海野 十三

「少年クラブ」1947(昭和22)年4月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,497 字 · 29 页

青空文庫

急行列車で地上を走ったり、飛行機で太平洋横断の旅行をするのとはちがい、宇宙旅行をするにはこのようにかってのちがったことがいくつもあって、たいへんやっかいであるが、そこがまた、たいへんおもしろいところでもある。

宇宙の墓場だ

「おいポコちゃん。いよいよきたぞ、宇宙の墓場へ。このへんは、もう宇宙の墓場なんだぜ」

山ノ井は、となりの席でもう三時間もぐうぐうねむりつづけている川上を起した。

「うううーん。ああ、ねむいねむい。なんだ、もう食事の時間か」

「あきれた坊やだね。宇宙の墓場だよ」

「シチュウが袴をはいたって。そいつはたべられないや、口の中でごわごわして……。ああ、ああっ。腹がへった」

ポコちゃんは目がさめると、おなかがすいたとさわぎだすくせがあった。山ノ井の千ちゃんは、あきれてしまって、とちゅうからもうだまっていることにして、しきりに暗視テレビジョンのちょうしをかえながら艇外へするどい注意力をあつめている。

ああ、宇宙の墓場。

そこは重力平衡圏というのが、ほんとうであろう。つまり地球からの引力と月からの引力がちょうどつりあっていて、引力がまったくないように感ぜられる場所なのだ。