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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

艇長がその使用開始を命じなかったのがいけないといえばいけないのだ」

「その設備というのは、どんなものか」

「人工重力装置さ。つまり人工的に、本艇に重力が強く働いていると同じ効果を与える装置なのさ。これがないと、重力や引力のない空間を航行するとき、われわれ艇員は全く生活が出来なくなるのだ。たとえば、壜の中にスープを入れたとしても、いつの間にかスープが壜の中から流れ出して雲のように空間に浮いて、ふらふら漂うようなことになる。室内の物品も人間も、しっかり縛っておかないかぎり、上になり下になり入乱れてごっちゃになって、仕事もなにも出来やしないだろう。だから、ぜひとも人工重力装置が入用なわけだ」

魚戸は、新知識を僕に植えつけてくれた。聞けば聞くほど、本艇には面倒な仕掛が要るのに一驚した。それと共に、僕はこれまでにはそれほど深い興味を持っていなかった本艇の科学に対し新なる情熱が湧いてくるのを感じた。

このつぎリーマン博士に会見のときは、そういう問題について質問の矢を放ってみたいと思ったことである。

宇宙の墓地

地球の上のことを引合いに出していうなら、ちょうど冬になってビルディングの中にスチームが通りだすのと同じように、本艇の中には人工重力の場が掛けられ始めた。