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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

可哀そうに、みんなで三十九人だ。三十九人も捨てられてしまった」

もう駄目だ。可哀想なベラン氏よ。僕は口の中で、ベラン氏の冥福を祈った。そして頭をいよいよ床にこすりつけた。そのとき急に自分の身体が……いやその部屋がひどく揺れだした。そして今まで聞いたことのない激しい物音が、僕をおどろかした。今にもこの部屋が裂けてしまうのではないかと心配であった。僕はちよっと目をあけたが、室内は暗黒であった。傍に立っていた筈の魚戸の姿さえ分らなかった。刻々激しさを加えていく鳴動の中に、僕は奈落へふり落とされていくような感じを受けたが、それっきり知覚をうしなってしまった。

驚異の実験

われらの艇は、今穏かなる航空を続けている。

あの引力平衡圏離脱の前後の大難航のことを思い返すと、只もう悪夢をみていたとしか、考えられない。あのとき僕は、遂に気をうしなってしまったが、それほど恥かしいことだとは思っていない。むしろよくも精神の激動にたえ発狂もせずに無事通りすぎたものだと思う。僕がこう記すと、中には僕の気の弱さを嗤う人があるかもしれない。だが、それは妥当でない。あの凄絶無比の光景を本当に見た者でなければ、その正しい判定は出来ないのだ。