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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

するとベラン氏の手が延びてきて、僕の腕をぐっと握った。

「目を放してはいかん。今だ、見て置くのは……」

僕は仕方なしに、再び硝子壜を見下ろした。二枚の電極が、先刻よりもずっと距離を縮めたようである。事実電極の間には、嬰児の首だけしか残っていなかった。

「まだまだ。目を放してはいかん」

ベラン氏は、痛いほど僕の腕を掴んでいる。僕はやむを得ず、怪奇なるその場の光景を見下ろしていなければならなかった。そのとき一方の電極が動いているのに気がついた。他方の電極は、嬰児の頭を上から押えているが、それは動かなかった。動く電極は、だんだん動いて、嬰児の頭を半分にしてしまったかと思うと、更に動いていって、やがて他方の電極にぴったりと合った。嬰児の身体は完全に消えてしまった。

取巻いていた人達は、ほっとした様子で互に顔を見合わせ、硝子壜の傍から放れた。リーマン博士がその人達の中に交っていることを、僕は初めて発見した。

だが一体これはどうしたというのであろう。こんな残酷なことがあるであろうか。二枚の電極は、嬰児の足の方から溶かしてしまったようであるが、それにしても硝子壜の中に血液らしいものも水のようなものも溜ってないのは不思議だった。