轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
03 伊達政宗の城へ乗込む――仙台の巻――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,085 字 · 48 页
私はそこへ案内された。なぜなら、そこに仙台一の「さんさしぐれ」の唄い手がいるからである。
私が仙台で一番印象に残ったのは、この、「さんさしぐれ」の唄い手のミッちゃんという人である。もう四十いくつだそうだ。「さんさしぐれ」という唄は唄い方がむずかしいばかりで、どんな名人が唄ったって印象にのこるような唄ではない。私が感心したのは、このミッちゃんという人の唄い方だ。態度である。座敷で今までベチャクチャ喋っていた時とガラリと態度が変って、唄と戦争するような物凄い真剣な気魄がこもるのだ。これだけは見事でしたよ。イノチをこめて唄うのだ。ミジンも弛みがないね。全身に烈々気魄がはりわたっていますよ。唄には全然感動しなかったが、あの真剣な気魄には、私は思わず涙が溢れた。彼女の母も一生「さんさしぐれ」を唄って死んだんだそうだ。母ゆずりの「さんさしぐれ」を彼女も一生唄い通しているのである。仙台へ遊ぶ人は五軒茶屋でミッちゃんのすさまじい気魄のこもッた唄いッぷりだけ観賞するのを忘れなさるな。なおミッちゃんという人は芸者ではない。母の代からこの茶屋に住みついている唄い手だそうだ。