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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
03 伊達政宗の城へ乗込む――仙台の巻――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,085 字 · 48 页
ゴザリスデゴザリス、というのは分った。ゴザイマス、という意味のゴザリス、一ツだけでは敬意が足らないという気持で、もう一ツ足してゴザリスデゴザリス。敬語の発生は尊敬の念からだけではないね。もう一ツ、計略的な下心もありますね。言い訳。言葉だけで間に合そうという下心。とにかくゴザリスデゴザリス的な言葉は、時によって、きく人を悲しくさせるな。言葉は事実を正しく表現するために用いらるべきであろう。ゴザリスデゴザリス的な言葉から文化は育たない。ただ田舎風の策略が発達するだけである。伊達政宗的な言葉かも知れないね。
仙台は奥の細道の地であるから、仙台の目貫きの通りの芭蕉の辻というのはそのインネンの地かと思ったら、これが大マチガイなんだそうだね。あの芭蕉には全然関係ないのだそうだ。政宗は密偵を用いることを好み、常時諸方にスパイをさしむけていたそうだ。彼の用いたスパイは山伏もしくは虚無僧であったという。その数あるスパイの中で最も腕のあるのが芭蕉という山伏だか虚無僧だかであったそうな。文字までそッくり俳諧の親玉と同じなんだね。彼は正確な情報を提供して数々の功をたて、政宗に深く愛され、厚く遇せられたが、その功に報いるために、年老いて隠居した芭蕉に、十字路に立派な邸をつくッて与え、その辻を芭蕉の辻とよぶに至ったという。