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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
10 高麗神社の祭の笛――武蔵野の巻――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,723 字 · 45 页
その山上の広場はせいぜい三百坪ぐらい、ホコラの前の地面をのぞいて概ね熊笹が繁っている。
獅子やササラッ子などに扮した青年や少年たちは山上で一舞いして神霊をなぐさめ、しばらく扮装をといて休憩して、これより山下の神社へ降りる。さて再び扮装をつける前に熊笹の中へわけこんでノンビリと立小便の老人、青年、少年たち。熊笹の下に祖神のねむることを知るや知らずや。しかし、ここの神霊は決して怒りそうもない。実にすべてはノンビリとしている。ここの山上まで見物に登っているのは、私たちのほかに女学生が三四名いただけであった。
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川越にも、ここと同じような獅子舞いが残っているそうだし、若光の上陸地点と伝えられる大磯にも似た神事があるそうだが、それらについては私は知らない。とにかく、この獅子舞いも笛の音も、現代の日本とツナガリの少いものだ。古いコマ人のものであろう。
もうコマ村の建物にも言葉にも、風習にも古いコマを見ることはできないが、笛の音と獅子舞いのほかに、一ツ残っているのがコマの顔だ。
中折のニコニコジイサンはただ一人の祭りの歌を唄うジイサンだが、彼の口もとに耳をよせ、台本と睨み合せて聞いても、何を唄っているのだか一語もハッキリしない。