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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

01 安吾・伊勢神宮にゆく

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,150 字 · 28 页

青空文庫

戻り道で夜が明けそめる。断雲が四散し、一面に美しい青空一色になろうとしている。神楽殿に灯がともり白衣の人々が起きて働きだしている。我らを見て白衣の人一人、お札を売る所の灯をつける。よって神材のクズで作ったエト(つまり今年は兎)のお守り、エハガキ等々、金二百六十円也の買い物をする。生れて始めてお守りを買ったのである。買わないワケにゆきませんや。神域寂として鎮まり、人間は拙者ら二人。そのためにワザワザ白衣の御方が電燈をひねって立ち現れておいでだから、知らんフリして通過するワケにゆかないです。神様からオツリを貰うのも不敬であるから四十円は奉納してきました。尚本殿に向って参拝の時には、外套をぬぎ襟巻をとりました。全て雑草の為すべきことは、これを為し遂げたのであります。宇治橋へ戻ってきたら、すでに橋の上の雪が掃かれていた。けだし、いつまでたっても、たった二ツの足跡というのは、小学校の一年生にもいとカンタンに真相が見破られて、足跡を残した拙者にしても何となく罪を犯し神様を土足にかけたようで軽妙な気持ではなかったのである。

神域に最も接近した民家を「ダルマヤ」