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あんごじんせいあんない

安吾人生案内

坂口 安吾

02 その二 大岡越前守

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,732 字 · 37 页

青空文庫

羽山が家を出て後、吉野氏と羽山が一しょに参り、吉野氏は私を馬鹿野郎よばわりし三十万円出せといゝました。

羽山留吉(当時三十歳)の供述

結婚の当日、夫婦の交りを一回だけ致しました。その時、しづは男女の交りの経験はないようでした。また交りを結ぶに当って不同意を示したことはありませんでした。私はいままでに異性と関係したことはございませんが、夫婦の交りはできました。

二日目しづは身体がわるいといゝ、床は二枚しき、交りを要求すると被告はさけました。(中略)私は父は亡く、母はあります。

財産はありません.中山の方には財産もあり、たしか、山林があると聞いていました。しづが私の方へ来ればいつでも引きとります。

中山しづ(当時二十九歳)の供述

見合いの時、同じ商売だったので、相手は何もないけれど、結婚しようと思いました。

挙式当日、羽山の義兄の家へ行ったところ、先方は少し酔っていて、

「男のバカと女の利巧はちょうど同じだ、生活力では男にはかなわないのだから、夫を大事にしろ」「亭主の好きな赤烏帽子という意味を知っているか」などといわれ、あんな風に私が侮辱されても、羽山は何ともいってくれないのかとさびしく思いました。