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あんごじんせいあんない

安吾人生案内

坂口 安吾

01 その一 〔判官巷を往く〕

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,119 字 · 34 页

青空文庫

警察が自身調査もしないで、当事者に電話をかけて、彼自らに調査をゆだねるようなことが有りうるのだろうか。

誰から話をきいて何を調査に来たのか、まことにどうも雲をつかむようである。

自分の方に落度がなくて、むしろ公務執行妨害だというのがまた面白い。公務執行妨害という大そうな罪があるなら、例の事実調査の直後にやるのが然るべきようだが、先方から捩じこまれるまで問題にならない悠長な罪があるものらしいや。どういう点が公務執行妨害になっているのか、そこのところが知りたくて仕方がない。

殴ったのか、殴らないのか。それはどうでもいいや。たとえば税務署の言うが如くに、この婦人が逆上してフラフラして勝手にぶつかって怪我をしたにしても、彼女が逆上するのは当然。女一人の留守宅へきて戸のガラスを外しはじめれば、取りみだすのは当り前だ。躍りかかって首をしめて女の金歯を抜きとる方がもう少しユーモアがあるかも知れん。おもむろにカミソリをとりだして女の髪の毛をジョリ/\と丸坊頭にしてしもう。これをカツラ屋に売るとガラス四枚ぐらいの値段にはなるかも知れん。平安朝の昔に、一人の百姓が婚礼のフルマイ酒に窮してお寺の坊主から二斗のお酒を借りた。