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あんごしたん
安吾史譚
05 勝夢酔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,002 字 · 27 页
だから勝家へ養子となってそこの娘と結婚した以外には、勝家から薫育されたものは一切なかったのである。
彼がケンカの修業を本格的にやりだしたのは、これからである。つまり正規の剣術にも身を入れはじめた。
兄の子供の新太郎に忠次郎といって彼には甥に当る相棒がいたが、ある日忠次郎を相手に剣術を使ったら、出会い頭に胴をぶん殴られて目をまわしてしまった。そこで大いに発奮して、忠次郎から評判をきいて団野という先生に弟子入りした。
また、新太郎と忠次郎のウチの用人の源兵衛が剣術使いで、これが夢酔に向ってケンカは好きかと訊くから大好きだと答えると、
「左様でこざいますか。あさっては蔵前の八幡の祭りでありますが一ケンカやりましょうから一しょにいらッしゃいまして一勝負なさいまし」(文字を書き変えた以外は原文のまま)
こういう次第で、この源兵衛という用人が夢酔と新太郎と忠次郎をつれて八幡の祭礼へでかけてケンカの手ほどきをしてくれた。壮烈をきわめたケンカ指南であった。
相手を物色して祭礼の人ごみを歩いていると向うから利いた風な奴が二三人で鼻唄をうたってくるから、まず忠次郎がそいつの顔へツバをふっかけた。