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あんごしたん
安吾史譚
02 道鏡童子
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,437 字 · 27 页
「その顔の色と表情を見て発する音声をきけば一目で偽りは明かだ」
とは、童貞童心の魂の底から一途に発したなんという清らかなまた確信にみちた断言ではないか。その確信の清らかさは女神の物というよりも、むしろ「本当に正しいものを愛することのみしか知らなかった珍しい人間の魂の物」と云うべきではなかろうか。
このミコトノリのどこかに一片でも暗いカゲがあるでしょうか。否、否、否。なんとまア正しい位置におかれた心の発した確信にみちた断言であろうか。その断言はさらに堂々と確信にみちて進みます。そして、
「清麻呂と事を謀っている同類も分っているが、天皇のマツリゴトは慈をもって行うものであるから、愍れみによって差許す」
とは、何たる豪快、凄絶なほど美しいゴータではないか。
心の正しい位置から発する女帝の童心の叡智は、その同類すらも見抜いていたが、天皇のマツリゴトは慈をもって行うものである故、というすさまじい確信によって差許した。
そしてその正しい位置をしめている魂は、己れの位置の正しさを明確に知る故に、強いて臣下の策謀に対抗して事を構える必要を認めなかったのであろう。
女帝は道鏡に帝位を与えなかったが、彼の生地にユゲの宮をつくって太夫職をおき、実質的にはまったく天皇と変りのない扱いであったのである。