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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
02 第一回 高千穂に冬雨ふれり≪宮崎県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,371 字 · 34 页
天皇は女帝である。そのころ山陵というものは葬って一、二年もたたないうちに盗掘されてしまう。葬って一、二年といえばまだ白骨にもならず肉は腐っているかも知れない。そういう醜いものを人に見られるのはイヤだから、というのが天皇が火葬を選んだ本当の原因のようである。
大和朝廷の勢力がどうやら定まりはじめた当時において、山陵はすでにそういう危険にさらされていたのである。天皇の陵ともなれば副葬品も一財産であろうから、盗人にとっては大仕事というわけだ。盗むなら品物のいたまぬ早いうち人に盗まれぬ早いうちがよいことは当然だから、泥棒も仕事を急いだであろう。
日向の古墳がほとんど盗掘されていないということは、日向が盗人の手のとどかない田舎だからという理由だけではすまされないように思われる。日向は南国でわりあい物資にめぐまれているかも知れないが、とにかく日本には万人が泥棒せずにすむような本当に豊かな土地というものはないのである。そして時間というものはおのずから全てを変えるものなのだ。山陵の山林は焚木に好適なものであるし、山林をとりはらえば古墳のゆるやかな山の形そのままで畑にすることもできる。