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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
02 第一回 高千穂に冬雨ふれり≪宮崎県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,371 字 · 34 页
案内されて行ってみると、私のイオリの庭になるはずの空地に七ツの古墳がはいることになるのである。むろん盗掘されていて古墳の台帳みたいなものにも盗掘ずみと記録のあるものではあったが、ともかく古墳をくずすわけにはいかないし、七ツの古墳にかこまれてデコボコの中にイオリをつくっても心気爽快になりそうもないからそこへ移住することはとりやめにしたのである。これらの土地では古墳なぞというものをあまり念頭においていない。そして住民の多くはあまり自分の土地を知らないし、多少心得のある百姓たちがさかんに盗掘するのである。古墳から何かがでるということは彼らが自然に知ることであるから、足利の毛利田というところの大集団古墳では戦争中に誰かがすっかり掘り荒してしまったと土地の人が云っていた。キノコがりなどのついでに古墳がりもしてくるのだそうだ。焚木びろいのついでに古墳びろいもしてくるのである。
日向と群馬のあたりではやはりそれだけのちがいがある。その違いの最大なものは要するに神話の支えだ。群馬には神話や土地の歴史の支えが住民たちの心にないのである。そして全国有数の古墳群をもちながら、それが全国有数のものだということについてすらも関心をもとうとしない。